報告『よくわかる地域情報化の傾向と対策【関西編】』
掲載日時 2003-6-27 11:54:00 | トピック: レポート
| 2003年6月27日 エコミュニティ研究会 『よくわかる地域情報化の傾向と対策【関西編】』 HP用 今川 拓郎氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授)
<全国における情報化に関する状況> 日本はe-Japn戦略ができ、IT推進化による効果が出てきて、ブロードバンド大国になってきたと言われる。e-Japn戦略の基本的思想の第一期はインフラ整備である。第二期は利活用である。利活用の中では医療、食、生活、中小企業金融、知、就労・労働、行政サービスといった7分野が取り上げられている。 今、ICカードの取り組みが全国で進んでいる。試行錯誤段階の部分もあるが、ICカードに公共と民間のアプリケーションが相乗りすることによって大きな可能性が広がる。さらに、無線ICタグでいろいろな情報のやりとりができることによってバーコード以来の大きな変革が起こると期待されている。 また、IP電話も大きなインパクトになっている。兵庫県では7月に全庁舎に「BBフォン」が導入される。家庭でも企業レベルでもIP電話を導入することによって、通信料金が非常に安くなる。これにより、これまでの電気通信、電話を中心とするような通信ビジネスのあり方を根底から変えてしまう可能性がある。
<近畿地方における情報化の状況と対策> 東京、大阪の経済規模の格差は1対2である。メディア産業を取ると約5倍、情報発信量では2.5倍、インターネットトラヒックでは24倍の格差である。IT絡みを人口ベース・経済規模で比較すると、東京一極集中がかなり高いことがわかる。 近畿圏の全市町村320を対象にした地域情報化におけるアンケートによると、地域情報化計画を「策定している」と答えた市町村は28%、地域公共ネットワークを整備しているところは4割もいっていない。情報化を進めるにあたっては、まずは計画を立て、専門組織を作り、人材を派遣し、予算を確保していくことが大切である。利活用においては、特に住民ニーズの把握、セキュリティの確保、コンテンツの内容が影響する。 そして、地域情報化には行政情報化が必須である。大阪府は2001年から2003年の3ヵ年計画で、バーチャル府庁、シェイプアップ府庁、ネットワーク府庁、費用対効果の確保等といった情報化計画を策定している。また、それとともに2001年、「大阪ITナビゲーター」を策定し、総合的・一体的・戦略的な全面的な地域情報化に向けたプランを作った。
〈情報化推進に向けて〉 次にくる情報化のポイントとしては生活者起点の地域情報化、ITによる産業利用の深化、コンテンツ流通の幕開け、ネットワーク外部性の重視が考えられるだろう。 ところで、関西には多くの知的な集積エリアがあり、そういった集積の効果を活用していく必要がある。しかし一方では、誰でもいつでもネットワークに接続ができ、最低限の情報にアクセスできて最低限のサービスが受けられるように活用していかなければならないだろう。
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