報告 2003年5月25日『コミュニティのファイナンス』
掲載日時 2003-5-25 11:51:00 | トピック: レポート
| 2003年5月25日 エコミュニティ研究会 SCCJ
『コミュニティのファイナンス ―ソーシャル・キャピタルってなんだろう』
山内直人氏(大阪大学国際公共政策研究科教授) ソーシャル・キャピタルを直訳すると社会資本になるが、英語で使っているソーシャル・キャピタルとは人間関係、地域のネットワーク、信頼関係を指している。 関西、特に大阪は昔から民間ベースの公共事業がよく行われ、淀屋橋など大阪にある7〜8割の橋は有力な商人がかけたものだと言われている。関西は市民活動が活発であると言われていて、統計データの裏づけによる市民社会インデックスが作れないかと始めるうち、ソーシャル・キャピタルという概念が地域の市民社会度を表していることに気づいた。 ハーバードの政治学者であるロバート・パットナムがこのソーシャル・キャピタルの概念を提唱して以来、社会学者、経済学者、経営学者も注目をし、非常に学際的な概念となっている。また、これは政策的にも非常に注目されているものである。
「コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルの意義」 西出優子氏(大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程1年・大阪大学OSIPP NPO研究情報センター研究員)
〈ソーシャル・キャピタルの概念の変遷〉 ソーシャル・キャピタルという言葉は、アメリカの教育学者ハニファンが、善意、仲間意識、社会的交流という意味で最初に用いた。その後、様々な分野の研究者が多様な意味で用いた。最近になって、研究者だけではなく、先進国政府や、OECD、ワールドバンクなどの国際機関もソーシャル・キャピタルに注目をしている。 パットナムは、イタリアに注目し、信頼やネットワークといったソーシャル・キャピタルの蓄積の違いによって、政府のパフォーマンスに差が出てくることを調査した。次に、州ベースの包括的な調査を基に、アメリカにおけるコミュニティの崩壊について実証研究を行なった。 ソーシャル・キャピタルには公共財と私的財の両側面がある。確立した定義はないが、信頼、互酬性の規範、社会的なネットワークといったもので、個人間やコミュニティに属すると理解されている。 ソーシャル・キャピタルは、仲間内での同質的な結束型であるBondingと、異質なもの同士をつなぐといった橋渡し型のBridgingの2種類に分類される。パットナムは橋渡し型・結束型、フォーマル・インフォーマル、信頼やネットワークの厚さ・薄さ、共益を目的とする内部志向型・公益を目的とする外部志向型の4つにソーシャル・キャピタルを分類している。 しかし、概念が非常にあいまいであるため、様々な批判もあり、議論が続いている。
<ソーシャル・キャピタルの意義、効用> ソーシャル・キャピタルは犯罪、経済、健康、教育、市民参加・政治、市民活動・NPO、ITネットワークなどとの関係についても研究されており、様々な社会的成果と結びついていることがわかっている。 そして、ソーシャル・キャピタルを醸成していくことでコミュニティは豊かになるし、政府や企業、NPOそれぞれがソーシャル・キャピタルを醸成する役割を担えると考えられる。
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