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レポート : 報告 9月29日 「京都発 New Energy と持続型社会」
掲載日時: 2001-9-29 16:23:00 (97793 アクセス)

■テーマ「京都発NEW ENERGYと持続型社会」
講師 上林 匡(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
新エネルギー導入促進部長)
   藤川 賢治 (京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 助手) 

Ⅰ経済産業省・NEDO職員 神林さん
「持続型社会」という言葉が最初に使われたのは、10年前のリオデジャネイロでの環境サミットで、子や孫の代まで人間が幸せに暮らせるように地球環境を大切に守っていく社会という意味である。


[新エネルギーについて]
 新エネルギーは「持続型社会」のメインテーマである。京都議定書では地球温暖化防止・気候変動防止の枠組みが取り決められた。CO2排出量を2010年に1990年レベルの6%削減というものである。現在エネルギー供給全体の1%である新エネルギーを2010年には3%にすることが京都議定書を守るための絶対条件である。
 京都では、市民からの寄付による太陽光発電設備や、小中学校での環境教育、バイオマスなどの先進的取り組みがされており、すばらしいことである。
 新エネルギーは環境に優しいというシンボル的に取り入れられてきたが、本当のエネルギー源として取り入れるべき時代になってきた。木質バイオマスは、山をエネルギー源として人間のために活用することで林業が復活し、森林が守られるのである。
 最近の新エネルギーをめぐる状況は、①市民運動②企業の取り組み③著名人によるキャンペーン活動、という社会をかえていく雰囲気が出てきている。京都議定書を実行していくための市民の議論が高まってきているということである。
[持続型社会(すべての人が将来にわたって幸せに暮らせる社会)について]
 現在の[循環型社会]の基本はリサイクルであるが、高度成長社会が作り出した大量生産・大量消費構造は、無理やり消費を作り出すという問題を生み出している。
 現代社会の不安定要素のひとつが自殺の増加である。現在年32000人ぐらい(人口10万人あたり26人)の自殺者がおり、戦後3回目で最高のピークである。50代以上の中高年が圧倒的に多く、うつ病など精神障害も増えており、職場環境の変化や不況、成果主義、所得の格差といった社会への不安要因からストレスを感じているのが原因であるが、「持続型社会」ではこういう人々を減らさなければいけない。
 今企業では常勤雇用から非常勤雇用の割合が増えている。企業にとっては人件費を減らす効果があるが、その結果社会不安を作り出している。
情報は、システムの整備にあわせて、人々を幸せにする為の中身が大切である。例えば[電子カルテ]はこれからの家庭介護において重要な手段となる。
 現代社会の不安定要素には個別の対処療法ではなく、社会全体の仕組みをみんなが幸せになる方向へ変えていかなければ効果が無い。「持続可能型社会」において企業の存在意義は社会を構築するツールである。「ワークシェアリング」は、企業にとってはコストがかかるので、今後の社会全体の取り組みとして常勤雇用者の賃金は下げるべきである。
 京都の生活文化は基本的に質素で慎ましやかなものであったが、質素を感じさせない工夫があり、洗練された文化である。幾度の革命・改革の舞台となった中で構築された質素な京都文化は、「持続型社会」そのものである。京都の今後の課題は、人口の57~58%が集中する京都市と、府との重複行政の融合にある。

Ⅱ京都大学院 藤川賢治さん
[インターネットについて]
1. インターネットとはネットワークをつなぐ技術である.
2. インターネットの優れた点 
端末と端末でデータ転送でき、非常に単純なデータ通信ネットワークである。またどんなアプリケーションでも自由に開発できる。
3. 電話網との比較
軍事技術⇒学術⇒民間ネットワークと進化。数多くのinternet service providerがある。交換装置はルータで電話交換機に比べ、安価・低機能、端末はパソコン・ゲーム機・専用端末で高価・高機能である。今後は唯一無二のネットワークとなる。
4. NTTのISDN戦略の謎
Integrated Services Digital Network は過去の技術であり低速・高価格である。ADSLより高価で特殊な装置が必要なのに世界でもNTTだけが推進している。
5. インターネットの接続の仕方
パソコン・ゲーム機・無線携帯端末をどんな方法でも良いから既にインターネットに接続されているルータに接続する。今後はケーブルモデム、ADSL、FTTHが普及しパソコンを使うケースの方が少なくなっていくであろう。
 8.家庭への普及率
   インターネットは米国発祥であり、米国民はコンピュータに慣れており電話料金が安いため米国は40%普及しているが、日本は20%台である。
 9.ビジネスへの普及率、
   米国ではインターネットを利用しないとビジネスチャンスを逸すため普及しているが、日本ではインターネット利用料金が高すぎるためまだまだである。(米国では月5000円、日本では月30000円ほど)
10.今後データ転送速度が劇的に向上し、動画もTV品質並に送れるようになるであろう。
11.ADSL(Asymetric Digital Subscriber Line)
既存の電話回線を用いて512kbps~8Mbpsの高速データ伝送を行い、電話・ISDN交換機を通さずルータに直接接続するため電話料金がかからない。
 12.FTTH(Fiber To The Home)
家庭に光ファイバを引くこと。問題はファイバを引くコストだけで、機器コストはADSLとそれほど変わらない。
 13.日本で高速インターネットが普及しない理由
NTTが独占しており、総務省・公正取引委員会がその独占を排除しないため。あらゆる通信設備を技術的に可能な限り要素単位で適正価格で卸売りすることをNTTに義務付け(銅線だけでも卸価格で貸す)、1996年米国の通信法をまねれば解決する。
 14.今後のインターネット
  確実にさらに家庭・職場へ浸透し、電話網を凌駕する社会基盤となる。高速化、帯域保証、マルチキャストがすすむ。
 15.インターネット電話TAの必要性
  ISDNでもTAによって電話が使え、その普及にパソコンが必須ではない。長距離・国際インターネット電話の場合、途中経路だけ既存の長距離国際電話網を利用すれば品質も上がる。本命はインターネット上でのQoS技術の完成である。
 16.携帯インターネット電話の構想
  安い携帯電話の需要は大きく、携帯電話でメールを利用する人が増加している。携帯インターネット電話を作ればすべてのサービスが低料金(ほぼ定額)で提供できる。4000万人の携帯電話加入者と、300万人のISDN加入者が移行するであろう。

[MIS(モバイルインターネットサービス)事業計画]
1.事業概要
モバイルインターネットサービスにおけるシステムアーキテクチャーの構築
2.事業スキーム
電柱に無線ルータを設置して付近を通るユーザの持っている端末に、他のISP(インターネットサービスプロバイダ)からバルクを借りてインターネットを配信
3.アライアンススキーム
コンテンツは提供せずに接続のサービスのみ行う
4.他のサービスとの差別化
11MBPSの定額制インターネットの提供
5.テクノロジー
世界初、屋外移動可能なハンドオーバー性能と確かなユーザ認識、セキュリティを兼ね備えた街角無線インターネット技術の確立
6.プライバシーとセキュリティの確保
 一般的な無線LANではサービスに加入しているもの同士で鍵を共有しているが、MISでは個人個人鍵を持ち日々更新して安全を確保
7.事業展開
 ノートパソコン⇒無線携帯端末⇒携帯電話など
8.ホットスポットサービス
 ホテルのロビーなど人が集まる場所にルータを設置、ノートパソコンをおいてサービスを行う。(コストリスク0でインターネットカフェの実現)
9.実証実験を2001年3月から4月にかけて福岡で実施、東京三軒茶屋でも実験中。
[QoSマルチキャストルータを用いた高信頼ストリーム配信実験]
 サーバー15台から中継ルータ2台を通じてインターネット全体に同時に180チャネル配信できるものである。他のパケットの影響を受けずに受信することができる。資金はNEDOから出ている。


[講評]
神林さん:「持続型社会」の実現には倫理に頼るだけでなく、消費者の行動と社会制度の規制が必要である。企業の社会貢献はある種の犠牲を伴うものであり、いろいろな人に出会い、話をきくコラボレーションは重要である。
藤川さん:「ワークシェアリング」によって賃金が下がっても「IT革命」によって通信費がゼロになれば、生活しやすい社会=「持続型社会」につながる。
SCCJ代表:このような機会をシーズとニーズのコラボレーションと捉え、テレビのチャンネルが自由に選択できるように、環境問題についても公開された情報を個人がどう判断できるかということが大切ではないか。京都から新しい国づくりを発信していこう。

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