■「ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家の概念と実際)」
講師:川本卓史氏(京都文教大学人間学部現代社会学科教授)
アントレプレナーとは、
アントレプレナーとは価値のあるプロジェクトや活動を引き受けて責任をもって成し遂げる人である。新たな可能性を重視する思考態度が特徴で、人、もの、金、情報を動員する存在である。
ソーシャル・アントレプレナーの必要性、特性
ビジネスセクターと非営利セクターそれぞれにおいて、両者の弱点を克服する存在としてソーシャルアントレプレナーの存在や必要性が注目されてきている。
前提条件として、社会性、起業性、共感性、説明責任を果たす責任性の4つが大事である。特性としてはビジネススキルとプロジェクト実行スキル、起業家精神の3つが必要である。
ソーシャル・アントレプレナーの登場と時代背景
アメリカでは60年代後半から非営利セクターは急成長したが、80年代のレーガノミックスにより、NPOは大変な試練に見舞われた。その後は、自立性・経営力の強化により、新しい動きとなった。
ソーシャル・アントレプレナーと企業・NPO・行政のこれから
今後は、社会貢献を重視する企業、利益の分配を主目的としない企業、あるいはEARNED INCOME(事業収入)を主体とするNPOといったハイブリッド・セクターが出てくるのではないかと思っている。
■「カスタネットの広報戦略」
講師:植木力氏(株式会社カスタネット代表取締役)
ベンチャー企業支援制度を利用して文具通販をスタート
カスタネットはカスタマー(お客様)とネットワークを結び、事業を広げ、楽器のカスタネットのようにうてば響くようなものを目指して設立した会社である。大日本スクリーン製造(株)のベンチャー企業支援制度に名乗りをあげて起業をし、オフィス用品、文房具、机などの販売会社として立ち上げたのである。
メディア戦略
文房具を集めてカンボジアに送るボランティア活動をきっかけとしてプレス発表をし、テレビ、ラジオ、雑誌に毎月のようにメディアに登場するようになった。そうしたところ、全国から文房具が山のように集まってきた。そして、その中古文具をカンボジアに送る費用はトナーカートリッジ再生による財源で賄うことができた。
飽きさせない広報戦略
初期は社内ベンチャーという話題性でユーザーが増えていったが、それ以降は社会貢献という話題で広がってきている。ニュース戦略としては、いろいろ切り口を変える。ベンチャー企業なのに社会貢献をしているという口コミネットワークは非常に大きいと感じている。今年はカンボジアの小学校建設とともに、実践型の社会貢献室をつくっていきたいと考えている。
○質問 社会企業家のビジネスモデルはいかなるべきものだろうか。
○植木 ソーシャルベンチャーをするために会社経営するのではなく、事業をやりながらできる範囲で社会貢献をしておけば、結果としてソーシャルベンチャーにつながる。ニュースは人より早く、人が喜ぶものをつくることである。人間は崖っぷちに立って必死になればアイデアが浮かんでくるであろう。
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