2003年9月2日
エコミュニティ研究会 「ITで変わる地域医療」 HP用
講師: 北岡 有喜氏(国立京都病院 医療情報部長)
(はじめに)
「e-JapanⅡ基本戦略」でビジネスモデルとして採り上げられた我々の地域医療ユニット構想だが、あくまでも我々は自分たちで調達できる範囲内でやってきている。
(地域医療ユニット構想)
当初、紙以外はカルテとして認めてもらえなかったが、昨年3月には電子媒体に応じたものもカルテとして認めていただき、その結果、地域医療ユニット構想は実用可能となってきた。我々は保険組合からのキャッシュフローの量産性を上げ、診療報酬請求、審査をオンライン化し、良好な医療を行う医院のサポートをしていこうとしている。また、診療報酬におけるインターフェイスをできるだけ一般的なものにし、OSはリナックスを使い、リソースを全部オープンにしてコストを下げようとしている。
病院は高度専門医療の機能は持っているが、アクセスが悪い。かかりつけ医は生活現場に根付いた医療サービスを行っているが、設備は少ない。この2つをうまくシームレスにつなげることで、誰でも、いつでも、どこでも、安全・安心で、質の高い医療が受けられるような地域医療環境を整備していく必要がある。そして、今後は地域にある医療資本を有効活用していくシステム作りが必要である。
(一地域一患者一電子カルテのメリット)
地域医療ユニット構想を進めていくためにはプライマリーキーとしての個人IDを共通化していかねばならない。これを一地域一患者一電子カルテと名づけている。このメリットとして、初診であっても予約が取れ、重症な患者を待たすことなく、すぐ診療へと移ることができる。そして、かかりつけ医のところで納得いくまで説明を受けていただける。共有型の電子カルテは病院の担当医、開業医共に患者の状況を把握でき、お互いの安心が図れる。
また、ITを用いることで、患者さんの取り違え等の思い込みミスは防止できる。さらには、病院の人やものの流れがわかり、ムダや非効率性を外していける。その結果、病院経営が黒字になると、設備投資や人件費に当てることができ、病院の活性化へとつながる。
このようなことを広げていくには啓蒙活動が非常に重要である。加えて、大災害時にも継続した医療が行えるよう、地域内の情報機能の整備が必要である。そして、以前は知られていなかった有効活用できるレベル1Aのエビデンスを全国の共通の電子カルテデータベースから抽出し、その情報を用いて新たな予防診断医療あるいは医療経営に対する方策を見つけていくシステムを我々は見つけていきたいと思う。
(終わりに)
ITは非常にいいツールだが、そのツールをどう生かすかは人間である。コミュニティネットを立ち上げることで、医療情報ネットワークは活性化されていく。2010年にはほとんどの医療機関でこのようなことが起こってくる世の中を望んでいる。
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