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掲載日時: 2000-2-12 14:51:00 (115819 アクセス)

 この家は棟上げからもう92年を数えます。今日はこの家を通して見えてくる京町衆の「心意気」についてお話したいと思います。

 私達の今いるところは昔の父の部屋にあたります。ご覧のように電気を消しますと、明かりは雪見障子からもれる光だけでとても暗くなります。京都ではこのような暗く、通風条件が悪い場所は大人の部屋にすることが一般的でした。明るい2階の部屋は主に子供達に与えられていました。

 「京都の人は暗がりばかりを好む」とよく言われますが、それは違います。明るい光の届く南・東側は、日常の生活を取り仕切る場所に残しておく、というのが京都の町屋の大原則なのです。日々の生活を取り仕切る場所、それは即ち台所です。ご覧頂いた方もいらっしゃると思いますが、この家の台所は天井の高い「吹き抜け構造」になっています。上には小さな小窓がつき、明るい光がさんさんと降り注いでいます。この台所の構造は、普段の換気にはもちろんのこと、火事の時多いに役立ちます。火事の時にはあの台所自体が大きな「ダクト」となり、炎を垂直に上げて隣近所に燃え広がるのを防いでいるのです。

 「隣近所に迷惑をかけない」
京都の人達は都市生活者としてのこの重要な点に、かなり徹底して取り組んでいました。
京都の、中でもこの界隈の人達で取り組まれていたことの1つに「規格化」があります。

 この界隈は昔から商人の町と言われ、町全体に商人の心意気が詰まっていました。商人の目標はとにもかくにも「儲けを上げる」こと。そのために彼らはまず、無駄を省く方法を考えました。そして生まれたのがこの「規格化」なのです。我が家にある襖・障子は、実は全部が全部家を建てた時からあったものではありません。他の家から譲り受けたものや、古道具屋で調達し直したものも数多くあります。別の家屋用に作られた襖や障子がぴたっと我が家の規格にはまるのは、昔の人々の行った「規格化」のおかげに他なりません。

 「無駄を省く」心意気というのは、京都の人々の「消費財の買い方」に如実に表れています。日々出入りするお金(雑用=ぞうよう)に関していうと、京都の人はいわゆる「ケチ」と言えるでしょう。しかし彼らは火鉢などの「耐久消費財」は、決して安物買いをしません。「無理やりにでも貯めたお金でいい物を買う。いい物を買えば数代に渡って使え、結局安い買い物になる」。それが京都の人達に共通する買い物の極意なのです。これは何もこの辺りの商人だけの話ではなく、京都の人全体に共通したものと言えます。

 「隣近所に迷惑をかけない」「無駄を出来るだけ省く」。このような京商人の心意気が詰まったのがこの家、この地域です。開放感のある明るい台所、近所から譲り受けた金色の襖、年季の入った火鉢などは、この家がこの地域で生きてきた長い歴史を偲ばせてくれます。

 最近、町屋が「美しい」と言われています。私が思うにそれはきっと、「老いの美しさ」を指しているのではないでしょうか。この家のあらゆる部分には、新しい住宅やキッチンには無い、地域や時代のエッセンスがたくさん詰まっているのですから。


掲載日時: 2000-1-29 14:50:00 (95849 アクセス)

◆◇◆3周年記念大研究会◆◇◆
「しんしんつらつら」が分かっている人も分かっていない人も京町家「無名舎」を
お借りしての研究会と大吟醸のしぼり立てを満喫ください。
どうぞふるってご参加ください。
★会場
・プレ:デジタルスクールNeo サロンにて  
京都市中京区蛸薬師通烏丸西入る ヒライビル3F
(烏丸蛸薬師交差点、西へ100歩 南側です。)
・第1部:京町家「無名舎」  新町通蛸薬師上る
・第2部:京銘酒「佐々木酒造」 上京区黒門通椹木町上る
★プレ   11:15-11:45 視覚障害者のインターネット講座見学
★第1部 12:00-15:00 研究会
12:00〜「京町家の暮らし」(無名舎家主 吉田孝次郎氏)
12:30〜「21世紀のメディアとして新聞は生き残れるか」
京都新聞社 総合メディアセンター 三木昭次長
13:30〜「21世紀の日本型システム」京都大学 吉田和男教授
15:00 終了後、無名舎見学
★第2部 15:30-17:00 佐々木酒造さんの蔵見学と新酒の試飲
★第3部 17:30-21:00 懇親会 京料理「松粂」にて
会費:会員 8,000円、非会員 10,000円 (懇親会費込み)
申込み: asano@sccj.com まで


掲載日時: 1999-12-3 14:02:00 (95239 アクセス)

1999年12月3日京都研究会
1999年10月23日「エコシティ京都探検隊」
1999年10月11日「エコシティ京都探検隊」実行委員会
1999年9月28日「環境会計(その2)」
1999年9月22日「「エコシティ京都探検隊」実行委員会
1999年8月18日「環境会計(その1)」
1999年7月14日「PCアップサイクル」のめざすところ
1999年6月16日「琵琶湖博物館で体験的学習」
1999年5月26日「京都サロン」のめざすところ
1999年4月21日「私の琵琶湖学」
1999年3月24日「水と生活」
1999年2月24日「学生起業家がめざす新しい環境と社会貢献ビジネス」
1999年1月23日 ―2周年記念拡大京都フォーラム― 「Sustainable Building」
1998年12月14日「オゾン応用による空気の蘇生化技術」
1998年11月17日「ゼロエミッションを実現する微生物培養技術」
1998年10月15日「循環共生型社会形成について」
1998年9月25日「環境と農業」
1998年8月11日「環境とダイオキシン(その2)」
1998年7月14日「環境とダイオキシン(その1)」
1998年6月17日「微生物が創造するエコビジネス」
1998年5月28日「環境と水(その2)」
1998年4月15日「環境と水(その1)」
1998年3月26日「環境と人権」
1998年2月18日「COP3の裏話と今後の世界変革」
1998年1月21日「紙について」
1997年12月17日(水)「COP3の成果と今後の産業構造の変革」
1997年11月19日(水)「地球の温暖化」
1997年10月31日(金)「世界の自動車」
1997年9月25日(木)「世界のエネルギー」
1997年8月27日(水)「世界の森林」
1997年7月31日(木)「たばこについて」
1997年6月19日(木)「水俣の経験に学ぶ」
1997年5月28日(水)「タンザニア訪問4回目の帰朝レポート」
1997年4月16日(水)「泥水飲んで百歳以上!タンザニアで考えたライフスタイル」
1997年3月19日(水)「リオサミットから5年世界はどう動いているか」
1997年2月13日(木)今後の進め方について


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